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天命を知る

『神を信じる者は多いが、神に信じられる者は少ない』

孔子(こうし)の言葉にこのようにあります。
「吾れ十有五にして学に志す。
 三十にして立つ。
 四十にして惑わず。
 五十にして天命を知る。」

さて、多くの方がこの「天命を知る」、天によって定められた自分の運命を知る境地を目指され、
日々修養されているかと思いますが、それは具体的には一体どのような境地、生き方なのでしょうか。

孔子や論語と聞くと、人間の道徳に関する教えであるかのように一般的には言われますが、
「天命」というからには、そこに天、神、仏というものがしっかりとある。
教えを学んでいくと、そこに宗教というものがあるということが分かってまいります。

と言っても、宗教という言葉も実は最近出来たものであって、
孔子が生きた時代には、今のように「宗教」と「道徳」とは切り離して論じられるべきものではなく、
二つを合わせて「道」としていました。

実際に孔子自身も、十五歳から四十代までは学者的な生き方をされ、
人から様々な話を聞き、万巻の書を読んで、
知識に基づいて「四十にして迷わず」の域に達せられました。

しかし、五十代になり道というものの本質に近づいて行くにつれ、
人や書を越えた、天との関わり合いの中での
人間の生き方というものを求めていかれるようになったのです。

「信じられる」ようになるということは、相手に自分の願い通り動いてもらうのではなく、
むしろこちらが相手の願い通り動こうとすることです。

それには、起きてくる出来事を全て「与えられた」ものとし、
人であれ、仕事であれ、目の前のことすべてに、人間として出来る限りの誠実さでもって当たることしかありません。

「天命を知る」というのも、自分の特別な才能、能力に気付くということではなく、
自分に与えられたものを全て天の恵みとして受け取り用いていく中に、
自分というものが活きてくるということを知ることなのです。
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