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祈ること

『願う心は神に届くものである。』

「念ずれば花ひらく」で有名な、坂村真民先生の詩は、

年令、職業を間わず幅広く愛唱され、その生き方とあわせて、「人生の師」と仰ぐ人が多い。

先生が八歳の時、小学校の校長をしていた父親が急逝し、一家の生活はどん底に落ちます。

父親の死に目に会えなかった長男の先生に、

母親は父の喉仏を与え、「今日から毎朝水を供えるように」と命じました。

それから先生の早起きが始まります。

誰も起きないうちに共同井戸の水を汲みに行き、父の喉仏に供えるのが日課となり、それは生涯続いたそうです。

母親は五人の幼子を育てるために懸命に働きました。

その母親の働く姿、そして母親が常に口ずさんでいた、

「念ずれば花ひらく」という言葉が、先生の心に焼き付いて、あの有名な詩が生まれたのです。

 
念ずれば花ひらく 
苦しいとき
母がいつも口にしていた
このことばを
わたしもいつのころからか
 となえるようになった
 そうしてそのたび
 わたしの花がふしぎと
 ひとつひとつ ひらいていった


「祈ることしか出来ない」という溜め息混じりの言葉をよく耳にします。

これは、「自分には何も出来ないから、せめて祈りはするが、

祈ったところでどうにもならない」と、「祈り」を過小評価しているのではないかと思うのです。

「祈り」には力があります。

このことは、本気で祈り、願い、念じた者のみが分かることです。

つまり、「祈ることしか出来ない」のではなくて、どんな絶望的な状況にあっても、「祈ることだけは出来る」のです。

「念ずれば花ひらく」という言葉を、私たちもいつも心に留めておきたいものです。
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