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信心と依頼心

不幸せな人と言うのは、何かしら不足を言われるものですが、

そのような不足というものを、さて、一体誰が埋めてくれるのでしょうか。


そこで大半の人は自分の身近な人間を頼りにします。

その相手に対して、お金なり親切心なり、

何かしら自分の不足を埋めてもらおうと躍起になります。


しかし考えてもみれば、その頼りにしている相手だって皆不足があるのです。


相手だって、誰か自らの不足を埋めてくれる者は居ないかと、

頼る者を捜しているのです。


世の中の不和の原因というのは、実はここにあります。

家庭での夫婦や親子、兄弟の不和や、職場での上司と部下の不和にしても、

不和という不和はすべて

お互いに自分の不足を相手に埋めてもらおうとするところに生じるのです。


人間が本当の意味で幸せになるには、

自分自身の足りないものを誰かに埋めてもらおうとする

依頼心を捨てなければなりません。


このようなお話をさせて頂きますと、

「誰も頼りにしない生き方なんて冷めた生き方だ」とか、

「頼り合うためにこそ、家族や友人があるのだ」

と反論をいただくのでありますが、よくよく考えてまいりますと、

それは間違いであります。



頼り合うことが、本当に頼りになればそれでよいのですが、

「頼ろう」とすることと、「頼りになる」こととでは、全く次元が違うのです。


頼りになるというのは、

誰かに頼ろうとしない人が本当に頼りになるのであって、

あの人に頼ろう、この人に頼ろうとする人は、頼りになりません。



信じる心(信心)とは、頼る心(依頼心)ではありません。


信じるということは、

相手にこちらの思うように動いてもらおうとするのではなく、

こちらが相手の思うように動きたいと願うことであります。


本当の夫婦関係、本当の友人関係というものは、

お互いに頼ろうとはしないものです。


相手を頼ろうとしないで、

むしろこちらが相手の頼りになっていこうとしていく。

そういう人間同士が一緒に生活をして、

友人となり、夫婦となり、親子となった時に初めて、

それが本当に頼りになる関係となるのです。
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