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どうにもならないと思う時

『どうにもならないと思う時にでも、わめき回るようなことをするな。

 じっと眠たくなるような心持ちになれ』


中国・明の時代に書かれた、『菜根譚(さいこんたん)』という書物の中に、

「口乃心之門(口はすなわち心の門なり)」とあります。

食物と言葉の出入口である我々の口は、実は心の出入口でもあるのですね。

この口を慎重に守らなければ、心というものは気付かぬ内に洩れ出て流されてしまう。

ですから「心の門」である口にいつも注意を払いなさい、と教えているわけです。

また、門(出入口)というからには、口から出た言葉が、

やがて返ってくるという意味も込められているのでしょう。

昔から言霊(ことだま)という言葉があるように、一度発した言葉には魂が宿るものです。

そしてその言葉は後に、言葉を発した人の心、大きく言えばその人の人生をもつくりあげて行くのです。

一度自分が言った言葉は、やがて必ず自分のもとに返ってくる。

いよいよ心の門である口の扱いが大切になってまいります。


しかし、そうは言っても人間ですから、ついつい感情が口からこぼれそうになる。

その感情が感謝や喜びであれば問題無いのですが、不足や怒りであっては、

その後の人生をも台無しにしかねません。そのような時、どのようにすればよいか。

そういう時こそ、じっと眠たくなるような心持ちになることが大切です。

それがわめき回りたくなる状況から抜け出す唯一の道なのです。

口を開けば感情に流されやすい。感情を口に出してしまえば、

その言葉に流されてしまうのが人間というもの。

ならば、心の門である口をしっかりと守って、時には鍵を掛けて固く閉ざすことも大事なのです。

人や物事を責めようとする「思い」をそのまま口に出さず、

静かに神様へと心を向けていくことが、大切なのですね。

祈ること

『願う心は神に届くものである。』

「念ずれば花ひらく」で有名な、坂村真民先生の詩は、

年令、職業を間わず幅広く愛唱され、その生き方とあわせて、「人生の師」と仰ぐ人が多い。

先生が八歳の時、小学校の校長をしていた父親が急逝し、一家の生活はどん底に落ちます。

父親の死に目に会えなかった長男の先生に、

母親は父の喉仏を与え、「今日から毎朝水を供えるように」と命じました。

それから先生の早起きが始まります。

誰も起きないうちに共同井戸の水を汲みに行き、父の喉仏に供えるのが日課となり、それは生涯続いたそうです。

母親は五人の幼子を育てるために懸命に働きました。

その母親の働く姿、そして母親が常に口ずさんでいた、

「念ずれば花ひらく」という言葉が、先生の心に焼き付いて、あの有名な詩が生まれたのです。

 
念ずれば花ひらく 
苦しいとき
母がいつも口にしていた
このことばを
わたしもいつのころからか
 となえるようになった
 そうしてそのたび
 わたしの花がふしぎと
 ひとつひとつ ひらいていった


「祈ることしか出来ない」という溜め息混じりの言葉をよく耳にします。

これは、「自分には何も出来ないから、せめて祈りはするが、

祈ったところでどうにもならない」と、「祈り」を過小評価しているのではないかと思うのです。

「祈り」には力があります。

このことは、本気で祈り、願い、念じた者のみが分かることです。

つまり、「祈ることしか出来ない」のではなくて、どんな絶望的な状況にあっても、「祈ることだけは出来る」のです。

「念ずれば花ひらく」という言葉を、私たちもいつも心に留めておきたいものです。

帰る旅

『神様を信じる者は、何をするにしても遊ばせていただくのである。

広前の奉仕で遊ばせていただき、商売でも農業でも遊ばせていただいているのである。

みな天地の間に、うれしく、ありがたく遊ばせていただいているのである。』


作家の高見順さんの亡くなる直前の作品に、『帰る旅』という詩があります。

帰れるから旅は楽しいのであり
旅の寂しさを楽しめるのも
我が家にいつかは戻れるからである
だから駅前のしょっからいラーメンがうまかったり
どこにもあるコケシの店をのぞいて
おみやげを探したりする
この旅は自然へ帰る旅である
帰るところのある旅だから
楽しくなくてはならないのだ
もうじき土に戻れるのだ
おみやげを買わなくていいか(以下略)
 

遠くへ旅行に行くのは楽しいものです。

見慣れぬ景色や味付けの違う料理、見ず知らずの人との出逢いというのは、

幾つになってもワクワクしますよね。

しかし、そういった感動が続くのもせいぜい二、三日のことであって、

誰しも長旅が続くと、やっぱり「我が家」が恋しくなるものです。

高見順さんは死の病床にあって、自らの人生を「帰る旅」だと言いました。

そしてその旅は、「我が家」である自然に帰る旅なのだから、

精一杯楽しまなくちゃ。お土産も買わなくちゃ、と。

夏休みの旅行同様、人生という旅の目的も、実はうれしく、楽しく、ありがたく遊ばせていただくことなのです。

せっかく来た旅なのですから、精一杯楽しまなくちゃもったいない。

もちろん、お土産も忘れてはなりませんね。

お世話になった人々に、立ち去るときにそっと置き土産を遺してゆくのです。

後世の人の生き方に何か良い影響を与えるものが遺せたのだとすれば、

この旅はもっと素晴らしいものになるでしょう。

真一心の心

『神は宮社(みややしろ)に鎮まり納まっておられるのではない。

 真一心の心に神がおられて、おかげになるのである。』

中村久子さんは、明治三十年に生まれ、

難病による両手両足の切断という重い障害を抱えながらも、

七十二年の人生をたくましく生き抜いた人物として知られています。

生活苦のため自ら見世物小屋に入り、「だるま娘」として二十三年間も好奇の眼にさらされながらも、

彼女は独学で読み書きを覚え、本を読んで教養を身に付け、結婚に出産、そして育児までをも立派にこなしました。

両手がなくとも、料理も作り、裁縫までして生計を立てたのです。

「奇跡の人」として知られるかのヘレン・ケラーが来日して彼女に初めて面会した際、

「私より不幸な人、そして偉大な人」と涙を流しながら言ったというエピソードはあまりに有名です。

晩年は全国を講演して回り、障害者をはじめ病に苦しむ多くの人々に勇気を与え、励まし、

「いのち、ありがとう」を口癖に、常に感謝の心を忘れませんでした。


しかし、そんな彼女にもただ一つだけ両手が無くて残念なことがあったそうです。

それは、合掌ができないということでした。

合掌と言えば、両手を合わせて頭を下げる。

形の上ではただそれだけのことでありますが、単に社交で頭を下げる低頭や、

手を握り合う握手とは違い、相手の地位や身分を尊敬するのではありません。 

そこに神を拝む心があってはじめて合掌となるのです。

「どうぞ、あなたの中の神がお働き下さり、幸せな人生を歩んで行けますように」

と念じて両手を合わせる。それが合掌するということなのです。

中村久子さんはきっと、実際には合掌は出来なくとも、

周囲の人々に対し心の中でいつも合掌を捧げられておられたに違いありません。

彼女に助けられた人々の存在こそが、そこに神がお働きになられた何よりもの証なのですから。

生かされ生きる一人である

平成二十二年に百一歳で亡くなられた臨済宗の禅僧、松原泰道師は、

百歳を過ぎてからも執筆や講演を精力的にこなし、

亡くなる三日前まで「生涯現役 臨終定年」を実践された現代の名僧として知られています。

その松原禅師がご在世中の話ですが、ある老婦人が禅師に対し、このように言いました。

「私は電車に乗って外出する際、なるべくラッシュ時を避けるようにしています。

 若い方が席を譲って下さるのはありがたいのですが、ご迷惑をおかけすることになるので…」と。

なんとも心優しい老婦人の言葉でありますが、それに対し禅師は、

「そんな気配りはやめた方がいいですね」

と冷ややかにつっぱねます。続けて、

「そのような時、あなたは心の奥底から『ありがとうございます』と感謝の思いをこめて

 お礼をそのお方に言って腰をおかけなさい。

 好意を素直に頂くことが、礼儀ではないでしょうか」

このように諭されたそうであります。

私たちは幼い頃から、学校や社会で「他人には迷惑をかけるな」と教えられて育ってきました。

しかしそれが不可能な事実であるということは、よくよく考えてみれば分かります。

不完全で欠点があるのが人間であり、そうした人間どうしが集まって、

互いに支え合い、迷惑をかけ合い、生活しているのが私たちの社会であります。

それならば、「私は他人には迷惑をかけません」と

肩肘を張るよりも、「誰かに迷惑をかけずには生きられない私である」と、

謙虚さと感謝の気持ちを持つべきではないでしょうか。

「人間は決して一人では生きられない、人間は他に迷惑をかけなければ生きられない、弱い存在である」

ということを、大人は子に伝えるべきなのです。

個人の力には限界があることを知らなければ、行き詰まりを感じた時に死を選ぶしかありません。


気配りよりも大切なこと。それは、この天地の中で他に支えされ、

他に迷惑もかけ、生かされ生きる一人であるという事実に、感謝の思いを向けることなのです。
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