まける練習

相田みつをさんの「負ける練習」という詩の中に、このようにあります。


柔道の基本は受身 受身とは投げ飛ばされる練習 

人の前で叩きつけられる練習 人の前でころぶ練習 

人の前で負ける練習です。

つまり、人の前で失敗をしたり恥をさらす練習です。

自分のカッコの悪さを多くの人の前で 

ぶざまにさらけ出す練習 それが受身です。

柔道の基本ではカッコよく勝つことを教えない

素直にころぶことを教える 

いさぎよく負けることを教える

長い人生には カッコよく勝つことよりも

ぶざまに負けたり だらしなく恥をさらすことのほうが はるかに多いからです。

そして負け方や受身のほんとうに身についた人間が

世の中の悲しみや苦しみに耐えて

ひと(他人)の胸の痛みを 心の底から理解できる

やさしい暖かい人間になれるんです。

そういう悲しみに耐えた暖かいこころの人間のことを

観音さま、仏さま、と 呼ぶんです。



さて、「負ける」というと、

少し消極的なように聞こえるかも知れませんが、

「負かされる」ことと、「負ける」ことでは、全く次元が違います。


「負かされる」というのは、相手に勝とうと思って力が及ばずに負けることですが、

「負ける」というのは相手に勝とうと思わないで、

自分の方から相手の意に歩み寄ろうとすることですから、

そこに真心がなくては出来ません。

少しでも対抗的な気持ちがあっては本当に「負ける」ことなど出来はしません。


相手が腹立ちや憎しみを持って来たとき、

こちらにそのような真心がない時には、腹立ちや憎しみの心が起こる。

しかし、こちらに真心があれば、

相手が仕向けた腹立ちや憎しみを心の内で解かしてしまうことが出来るようになる。

負ける練習を通して、ほんとうの真心を身につけさせて頂きましょう。。

すべての役割に感謝を

蟻の集団の働きぶりを細かく観察すると、

よく働く蟻が2割、普通に働く蟻が6割、働かない蟻が2割

という分布になるのだそうです。


それでは、よく働く蟻だけを一カ所に集めたらどうなるかと言うと、

なぜかまた働かない蟻がでてきて、自然と元の通り、

よく働く蟻が2割、普通に働く蟻が6割、働かない蟻が2割になるのです。


それでは、働かない蟻だけ集めるとどうなるか。 

これもやはり結果は同じで、

2割、6割、2割の分担で、仕事をするようになります。


さて、もう一つ気になることがあります。

それは、働かない蟻たちは一体何をしているのでしょうか。

何の役にも立たないのでしょうか。


このことについて、興味深い研究結果があります。

それは、蟻は巣と餌との間に定期ルートを作って行動する習性があるですが、

その際、働かない蟻たちの何匹かが必ずルートから外れるのだそうです。


実はそのルートを外れた蟻たちによって、

新しい餌を発見する確率が高まり、集団としての生存確率が高まるのだそうです。


それぞれに違いがあり、働き者もいれば働かない者もいる。

だからこそ、役割分担ができて、変化にも適用出来る。

集団として成り立つわけです。これは人間の組織にも言えることでしょう。


「よく働く蟻」の役割を担う人々というのは、

『自分だけこんなに働いて…』と、ついつい周囲を批判しがちなものです。

しかしそれは本来、感謝すべきことなのです。


「よく働く蟻」以外の役割を陰で果たしてくれている人々のお陰で、

自身がスポットライトを浴びて、人一倍の経験を積むことが出来ているのですから。


何かが好転したり、うまくいっている時には、

誰か多くの人に支えられていると考え、感謝しましょう。

反対に、不都合や不幸に見舞われたときには、

誰か多くの人々を支える番が巡ってきたのだと考えて、

静かに誇りながら、気力と体力を蓄えましょう。


誰もが多くの人に支えられ、自分も誰かを支えながら生きています。

すべての役割に感謝をしていくことで、

もちつもたれつの、「お陰様」の本当の姿が見えてくるのです。

子供とともに成長させていただく

相田みつをさんの詩に、このようにあります。

アノネ
親は子供をみているつもりだけど、
子供はその親をみてるんだな
親よりもきれいな、
よごれない眼でね 

子供というのは、親が子供に対して思っていることが、

本当に自分への愛情なのか、親自身の自己愛なのかということを、非常に敏感に感じ取ります。


親はともすると、自分が果たせなかった夢を子供に託したりして、

自分が持ち合わせなかったような、

無理難題ともいえる要求を子供に課してしまいがちではないでしょうか。


しかし本当は、子供をそのまま、子供のありのままを受け入れて、信じてやればそれでよい。

それだけでよいのです。


たとえ子供が親自身の弱点や欠点ばかりを受け継いだとしても、

「私の子供の頃にそっくり同じ。やっぱり親子やなぁ」

と肯定的に思いながら育ててやれば、さぞかし子供は、

楽な気持ちでのびのび育つことができるでしょう。


子供は親が「思っている」通りに育つと言われますが、「望んでいる」通りには育ちません。

ですから、子供のことを信じてやりさえすれば、「信じられるような」子どもに育っていく。

それを、『心配だ、心配だ』といって信じてやらないから、

「信じられない」子どもに育っていってしまうのです。


生きとし生けるもの、存在するもの、皆、

神様のお造りになられたものなのですから、

みんなそのままで美しいのです。


可愛い子ども、素晴らしい子どもだと、

こちらに感じとれる心があれば、

子どもはみんな、そのように育っていくのです。


子供を授かってはじめて人は親になる。

言わば、子供とともに生まれ、子供とともに成長させていただくのであります。

そのような謙虚な心で子育てをさせていただきましょう。

おこること みなよし

陶芸家の河井寛次郎(かわい かんじろう)の言葉にこのようにある。

鳥が選んだ枝

枝が待っていた鳥

一つの木の枝に鳥が止まっている。

ただそれだけの風景ですが、鋭敏な陶芸家の眼は、その風景を見たときに、深い感慨を抱いたのでしょう。


空を舞う鳥が空中から自分がとまる枝を探して、数多くの枝の中から一つの枝を選びます。

鳥は自分がその枝を選んでとまったのですが、

実は相手(枝)もその鳥を選び、枝にとまらせたというわけです。


このことを人間に置き換えてみると、どうでしょうか。

人との出逢い、仕事との出逢い、モノや言葉との出逢い。

偶然にもその時々で、自分が選び取ってきたように思えるのですが、決してそうではない。

すべて差し向けられたものなのであります。


『あるもの みな美しく、 おこること みなよし(高橋正雄師)』


信心をさせて頂くということは、自分と物事との間に神様を見出すことです。

自分の好き嫌いで物事を受けとめようとしないで、起きてくることは全て神様のお差し向け、

そこに自分にかけられた神様の願いを受け取ろうとするから、

「あるもの みな美しく、おこること みなよし」と思える自分にならせて頂けるのです。


現実を変えることが出来なくても、悩みに対する心の持ち方を変えることはできます。

過去の出来事を捨て去ることはできなくても、とらえ直すことはできます。


結局のところ、出来事自体には良い悪いはなく、受け取る側の心にだけ、良い悪いがあるのです。

良いも悪いもないのであれば、「すべて恵まれてのことなのだから」と、

神様から頂いた「ご縁」として有難く受け取る心を育てていきましょう。

そうすれば、どのような境遇に置かれても、人は幸せになれるのです。

「我」の弱点

「我」とは自分の力で生きているのだと勘違いするところから生まれてくるものです。

自分の力や努力のおかげでここまで来た。欲しいものを手に入れた。

物事を一生懸命頑張る人ほど、このような考えに陥りやすく、

周囲からも「我が強い人だ」などと言われます。


そして、そのような「我」がある為に、相手が神であれ人であれ、

心から感謝する心にはなれず、また心から頭を下げることも出来ない。


「我」があるために、他の人と隔たりが出来、対立することが起こってくる。

またそこから様々な問題も生じてくる。


さらに「我」のタチの悪いところとは、

そうした自分の「我」に、自分自身が気付かないということ。


それが故に、人から諭されようが、責められようが、

かえって一層「我」を募らすことになるばかりなのです。


ただ、そのような強力な「我」というものにも、唯一の弱点があります。

それは、教えを聞いて自分自身で詫びること。


教えとは、この自分というものが、生かされて生きている我が身であった、

ということに気付かせるものです。

それが腹に落ちた時、これまでの自分を恥じて、詫びる心が必ず生まれる。

「我」というのは、自ら気付いて、恥じ、詫びることによって、不思議と消えてしまうのです。



お道の教えにこのようにあります。

『信心する者は本心の玉を磨いて信心しなければならない。

鉄でも磨けば銀のように見える。金銀も磨かなければ光がない。』


錆というのは、金属とくに鉄の表面が空気に触れて生ずる科学現象ですが、

空気のせいだけでなく、鉄自身がさびやすい性質を持っています。


さびやすい鉄でも、研いだり磨いたりを怠らないなら、

さびることなく光り続け、刃物ならよく切れるようになる。


同様に、迷いやすい私たちの心も、よい教えに研いで頂くことが大切です。

人間の心でいう錆とは、まさに「我」であります。

教えを聞かせていただいて、日々「我」を洗い流させていただきましょう。


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